富士山を見に訪れる観光客の喉を潤すブルワリーレストラン『Mt.Fuji Brewing』が、2019年3月23日(土)にオープンしました!
『Mt.Fuji Brewing』の3月21日プレオープンに、私たちスタッフが取材してきました。
オープン初日は、ビアソムリエ資格を持つ施設長の會森隆介(えもりりゅうすけ)さんによって最初のビールが注がれました。
その日新しい設備を使って醸造された約10バッチには、ドイツスタイルのラガービールから、アメリカンペールエール、セッションIPA、コーヒースタウトが用意されていました。
ビールの味はとても好評で、空になったビールグラスを注ぐので店内は大忙し。今後ビールのラインナップには、現在発酵段階のベルギースタイルの白ビールも追加されるとのことです。
新しい醸造設備を使って今回醸造を行った會森さん。
「設備は問題なく稼働しましたが、良い設備をもってしても美味しいビールを作るのはやはり難しいですね」
と答えていましたが、まさに會森さんの努力が実った味わいのビールでした。
今回はプレオープンで、私たちが試飲したビールの感想を紹介したいと思います。
◆ラガービール
美しい黄金の液色に、持続する真っ白い泡がのったビールの王道、ラガービール。香り高いパールやザーツのホップが加えられ、微かなビスケットの香ばしさが混ざった、フローラルな少し甘い味わいに仕上がっています。
パンのような麦芽の香りと強いホップの苦味が交互に現れ、一口飲むたびに新しい味わいが口の中で広がります。
ミディアムボディの程よいコクと炭酸、すっきりした飲み口と切れ味で仕上げられた、全体的にバランスのとれた飲みやすいビールです。
◆ペールエール
よりクラシックアメリカンペールエールスタイルで、カスケード・ホップが使われたこのペールエールは、少し濁りのある黄金色にふわっとした白い泡がのったビールです。グレープフルーツの軽快なアロマを感じながらも、口の中では力強いもののスムーズな口当たりの苦味が広がります。喉の渇きを癒すように飲みやすいビールですが、次回の醸造ではより柑橘系の味わいを際立たせて作られるとのことです。
◆セッションIPA
ビールの形と色を楽しむ前に鼻に感じる、トロピカルフルーツの柑橘系のアロマが特徴のビールです。少し濁った淡黄の液色に持続する白い泡がのっています。トロピカルフルーツと柑橘系の味わいが交互に現れ、口の中でその味わいが際立ちます。発泡酒免許のもとビール醸造が行われ、ドライホッピング手法で使われる新鮮なシトラホップとモザイクホップを引き立てるため、グレープフルーツジュースが醸造ケトルに加えられます。すべてのフルーティーでジュースのような味わいは、苦味にうまく混ざり合って全体的にバランスがとれています。また、爽快な仕上げと炭酸によって飲みやすいビールに仕上がっており、何杯も飲めてしまうこと間違いありません。
◆コーヒースタウト
濃い漆黒の色合いの上に柔らかいカフェラッテ色の泡がのったビールです。焙煎されたモカのコーヒー豆の香りがダークチョコレートとともに鼻に感じます。口の中には麦芽のチョコレートとキャラメルの風味が強まり、コーヒーの風味の後味を口全体に感じる前に、軽い甘みが広がります。なめらかな炭酸に、ライトボディで飲み口が軽く、最後にドライな口当たりを感じます。淡色系の他のビールに比べて、全体的に複雑な味わいがありつつも、とても飲みやすく仕上がっています。
會森さんはすべてのビールでアルコール度数を5%に止めることで、地元の人や訪れた人たちが様々な種類のビールを一度に楽しめるようにしていると言います。オープン初日からその願いを達成できたと言っても過言ではないでしょう。また、個人のブルワリーレストランと地元のレストラン・バーに限定してビールを提供しており、常に新鮮な状態を保ち、醸造所からグラスに注がれるまで良好な状態が保たれて提供されています。
『Mt.Fuji Brewing』で楽しめるのはビールだけではありません。オープングリルで調理された、地元の野菜、肉、海産物の料理を楽しむこともできます。ビアソムリエである會森さんはペアリングの知識を生かして、料理にあったビールも一緒にオススメしてくれます。
静岡県富士宮市の中心から川を超えたとこにある、富士山本宮浅間大社の隣に位置する『Mt.Fuji Brewing』は、クラフトビールの醸造所が増えているエリアにあり、周りには「FUJIYAMA HUNTER`S BEER」や「Bayern Meister Bier」があります。
『Mt.Fuji Brewing』の最大の魅力は、何と言っても店内から見える富士山の眺めと、最新の300リットル醸造設備システムです。麦汁のケトル、ロイターろ過槽、ワールプールの3種類の容器がセットになった設備は、ビール醸造者の想像が膨らむような設備です。
清潔でミニマリスティックなパイプ構造により、麦汁の製造が素早く効率的に行われ、インフュージョン法*やデコクション法**が可能になります。
*インフュージョン法:麦芽の糖化法の一種で、一定の温度によって行われます。
**デコクション法:ドイツの伝統的糖化方法で、麦芽の糖化液の一部を取り出して別の釜で加熱してから、再び元の釜に戻して行われます。
パイプを含め設備設置に要する期間は、2週間以内でした。システムは半自動的に稼働されており、自動洗浄を行うことも可能です。
6つのシングルサイズ発酵タンクは、別の温度計測・制御システムでグリコールによって保冷されます。
また300リットルというサイズ感は、想像よりも大量のビールをこの容器で醸造することができます。
『Mt.Fuji Brewing』公式サイト:https://mt-fuji.beer/