液体酵母と乾燥酵母のメリット
液体酵母と乾燥酵母の違い:何が同じで、何が違うのか
液体酵母と乾燥酵母は同じものなのか? 確かに酵母菌の遺伝子は同じものだ。
ただ、この酵母を育て、保存し、使用するプロセスは全く異なる場合がある。
この2つのタイプの違いを説明し、どちらのタイプが合っているかを判断できるようにした。
ドライ | リキッド | |
製品の種類 | 乾燥の規模や工程が大掛かりなため、すべての酵母を効率よく乾燥できるわけではなく、種類の幅が狭い | 液体酵母の生産は一般的に小規模で、柔軟性があり、種類の幅は広い |
香り | 一般的に味や香りは穏やか。乾燥工程は酵母にストレスを与えるので、発酵中の香りの生成は控えめ | リキッドタイプのものは、健康で生存能力が高いため、はっきりした香りと複雑な風味を持つ |
使いやすさ | 開封して、麦汁の上に振りかける(水戻し不要) | キャップを開けて麦汁に加えるか、フレックスポンプ(無菌輸送システム)を使って直接投入する |
凝集性 | 細胞膜は乾燥により、凝集に関与する膜タンパク質が不足することがある。 そのため、凝集力が弱くなることがある | 酵母によって異なるが、一貫した凝集特性を持つ。これは、細胞膜が頑丈で、膜タンパク質がそのまま残っているため、効率よく凝集することにつながる |
栄養素 | 不活性酵母の形で、ステロール、窒素、その他の栄養素を乾燥酵母に含めることで、その一部が発酵時に使える | 麦汁のエアレーション、FANやその他の栄養素を添加する必要がある |
ピッチレート | 50-100g/hL、パッケージ内の実際の生存酵母に依存する | 正確なセルカウントにより、ピッチレートの精度の高いカスタム計算が可能 |
発酵速度 | ピッチレートによる | ピッチレートによる |
保存期間 | 長期保存が可能(製造日から12~24ヶ月)。 常温での保存も可能ですが、長い期間保管する場合は冷蔵保存をお勧めです | 乾燥品より保存期間が短いが、生存率が高く、フレッシュな状態で培養されている。 常に冷蔵で保存する必要がある |
品質管理 | 酵母100万個あたりの細菌および野生酵母の汚染物質に関する厳格な仕様基準に適合している | 増殖プロセスにより、酵母細胞4000万個あたりの野生酵母および好気性細菌汚染物質、酵母細胞1億4000万個あたりの嫌気性細菌汚染物質の検出を可能にし、より純度の高い培養物を得ることができる。これにより、通常、液体酵母はより多く使いまわすことが可能 |
リピッチ | リピッチ可能だが、一般的に微生物負荷が高い可能性があり(上記「品質管理」参照)、何世代にもわたり酵母を使いまわした場合すぐに汚染される可能性がある | より高精度な品質管理により、微生物の増加のリスクなしに、液体酵母をより多くの世代で使いまわすことが可能である |
移送 | 温度変化の少ない環境で輸送できるため、梱包材(断熱材や氷)が少なくて済み、輸送手段も安価になる。 乾燥状態のため、一般的に世界市場での輸出入が容易である | 生存率を維持するために低温輸送が必要であり、氷を入れた断熱構造の梱包と素早い輸送が必要である。また、 生きた培養物に対する厳しい規制があるため、国によっては輸出入が困難な場合がある |
費用/価値 | 一般的に、同量の液体酵母よりも低価格である | 乾燥酵母より価格が高いが、リピッチをする場合はお得 |
液体酵母
・製品の種類
小バッチで増殖させることで、より多くの種類の菌株を生産することができる。
つまり、様々なビール(およびビール以外)のスタイルに対応した新鮮な酵母を作ることが可能である。
・香り
FANを多く含む麦芽で増殖させたものを21日間かけて小規模に培養することで、大きく丸々とした酵母細胞ができあがる。
この細胞は細胞膜の機能が非常に優れており、風味や香りの成分を多く生成することにつながります。
・品質管理/リピッチ
液体酵母は、より高い純度で培養され、qPCRおよびプレーティングにより、細菌および野生酵母のコンタミネーションは、酵母細胞3億個あたり1個未満という規格に則っている。
一方、ドライイーストは、バクテリアと野生酵母のコンタミネーションが酵母細胞100万個あたり1個未満という基準に則っている。
この基準により、液体酵母は通常の醸造所での取り扱いによる微生物数の増加のリスクなしに、より多くの世代に使いまわすことが可能で、節約につながる。
例えば、あるエールイーストの菌株は、適切な取り扱いで8~10世代に渡ってピッチングすることができる。
乾燥酵母
・保存期間
乾燥酵母は、製造日から12~24ヶ月の長い保存期間を持つ。
このため、醸造家はいつでも酵母を手に入れることができる柔軟性を備えている。
・保存方法
乾燥酵母は常温で保存することができる。
しかし、賞味期限を最大限に延ばすためには、冷蔵での保管をお勧めである。
・移送
乾燥酵母は、断熱材や氷などの包装の必要性が少ない環境で輸送できるため、輸送コストを抑えることができる。
・入手性
乾燥酵母は、生きた培養物の輸入規制が厳しい国も容易に輸入することができるため、世界中どこへでも発送することができる。