『KOMBUCHA』(コンブチャ)ー健康飲料の最新トレンド!?
KOMBUCHA」(コンブチャ)を試したことはありますか?実はこれ、日本人が知っている「昆布茶」ではなく、正確には「紅茶キノコ」と呼ばれる飲料なのです。炭酸が入った酸味の強い発酵飲料で、フルーツやスパイスを加えて様々なフレイバーで仕上げられます。
そんなコンブチャを販売する海外ブランドが、日本でも数店舗にて販売を始めており、コンブチャを自家醸造する醸造所も日本で見られるようになりました。また、クラフトビール醸造者の中には、このコンブチャを使ったビールの開発をしているところもあります。すでに、関東や関西エリアでコンブチャ生ビールを飲めるバーも増え始めています。
コンブチャはここ数年間、米国、ヨーロッパを中心に健康飲料として注目を浴びています。特に米国では、2020年までに18億ドルの売上規模が予測されている、急成長中の健康飲料でもあります。
ビール醸造や発酵に使われるものは何でも好きな私たちは、2000年の歴史を持ち最近になってその効果が再発見・加工された「コンブチャ」について紹介したいと思います。
「KOMBUCHA」(コンブチャ)とは?
「コンブチャ」という名前は日本から来ているものの、意味としては変化をしており、今では日本の昆布茶とは別物の「コンブチャ」があります。海外の人が「コンブチャ」を耳にして思い浮かべるものは、中国東北部を原産とする酸性度の高い発酵茶を指します。
日本の「昆布茶」は昆布からできており、昆布を細かく刻んだり粉末状にしたものに緑茶と混ぜたり、お湯を注いで飲まれます。
一方で、西洋で言われる「コンブチャ」は、日本語で言う「紅茶キノコ」を指していますが、キノコでは作られていません。実際には、「コンブチャ」は紅茶に酢酸菌や酵母菌の菌株「スコービー(SCOBY)」、砂糖を加えて発酵させて作られる発酵飲料です。1週間以上の発酵過程で、菌が糖質と紅茶成分を代謝し、甘酸っぱい味わいの炭酸飲料を作り出します。完成した飲料には、ビタミンBや有機酸、抗酸化物質などの健康成分が含まれ、微量のアルコール成分も含んでいます。
短めの二次発酵時に、生姜やレモン、フルーツジュース、ホップなどのハーブを加えて飲料に独特なフレーバーを持たせることもあります。
発酵食品と同様に、コンブチャにも発酵過程で自然に生成された微量のアルコール成分が含まれています。これは、酵母が砂糖を分解した時にアルコール成分に変わることで発生し、菌がこのほとんどのアルコール成分を酢酸やその他の有機酸に変えます。そのため最終的に残るアルコール成分は、低温殺菌されていないフルーツジュースとほぼ同じ量になります。
「ハード・コンブチャ」とは?
「ハード・コンブチャ」は、アルコールを含むりんご酒です。エタノール(人間が飲用できるアルコール)を生成する酢酸菌を使って、発酵させることによって作られます。この場合、コンブチャは通常の飲料ではなく、アルコール飲料となります。中には、コンブチャ・ビールも登場しています。
このコンブチャ・ビールは以下の2通りの方法で作られます。
1,混ぜる方法:醸造されたビールとコンブチャを混ぜて作る
2,発酵させる方法:コンブチャを、ホップや大麦などビールに風味をつける成分と、ビールの発酵によく使われるエタノールを生成する酵母を使って醸造する
コンブチャは最新の飲料?
コンブチャは最新の飲料だと思われるかもしれませんが、実は昔から飲まれていたお茶です。諸説ありますが、有力な説によると、221年に中国東北部で飲まれていたお茶で、テレビや雑誌で取り上げられるようになったのはここ20年の間だということです。普通のソフトドリンクより糖質が3分の1で健康に良い成分が含まれていることから、世界中の健康志向の人たちの間で、甘いドリンク代わりに飲まれています。
コンブチャの売上が伸びアクセスが広まったことで、米国ではコンブチャが主流の飲料として普及しており、ヨーロッパにもその人気が広がっています。米国やヨーロッパでは、コンブチャを健康食品店で手に入れることができます。その他にも、スーパーやレストラン、バー(コンブチャ割りのカクテルとして)、ファーマーズマーケット、ビール醸造所でも見ることができます。
日本でも、コンブチャ第1号ブランドが市場で販売を始めています。クラフトビールを提供するパブでも、新鮮なコンブチャをアルコール有無で飲むことができる場所が増えています。
コンブチャが海外で飲まれる理由
発酵飲料であるコンブチャですが、ヨーグルトやザワークラウト(ドイツのキャベツの漬物)など発酵食品は、善玉菌の働きを助け、健康に良いとされています。また緑茶と一緒に作られることで、コンブチャには緑茶のカテキンと同様な抗酸化作用があります。その他にも、発酵時に糖質が酵母によって分解されることにより、コンブチャにはビタミンCやビタミンB、ビタミンB1、ビタミンB6、ビタミンB12が含まれます。 中国では古代から「不死のお茶」として飲まれていたことからも分かる通り、コンブチャは昔からその健康への効果が実証されています。以下は、コンブチャを飲む理由を尋ねた米国の調査であげられた内容です。
・糖質控えめな清涼飲料水
・体のエネルギーが増す
・消化を助ける
・便秘を緩和
・ダイエット中に食欲を抑える
・体内のPH値のバランスを保つ
・免疫を高める
・心身の健康を向上させる
調査研究で実証されたコンブチャの効能とは?
コンブチャは、世界中で150年前から研究が重ねられてきました。そして、コンブチャの評判を裏付けるためその効能が長く研究されてきました。これまでの調査結果によると、コンブチャには以下の効能があるとされています。
・善玉菌の作用により、消化を助ける
・コレステロール値を抑える
・抗糖尿病作用
・肝臓を良好な状態に保つ
・腸内環境を整える
・抗酸化作用
コンブチャの健康効果をはっきりさせるためには、今後さらなる研究でその証拠を得る必要があるようです。
コンブチャの作り方とは?
コンブチャを作るためには、通常以下の材料を使います。
・砂糖
・冷たいろ過水
・紅茶または緑茶(ティーバックまたは茶葉)
・スコービー(SCOBY)
コンブチャを作るためには、紅茶または緑茶と砂糖を、沸騰した水に染み込ませ、冷ましてからスコービー菌を加えます。液体を瓶に入れて密封しない程度に蓋をします。そして発酵のために10〜14日間寝かせます。商業用に製造される場合には、容器が大きいため発酵に20〜30日かかる場合があります。酵母が糖質を分解することで二酸化炭素とエタノールが発生し、酢酸菌によってエタノールが分解され酸味が生み出されます。完成して容器に入れた段階で、発酵にかけた時間によって砂糖の甘みが残ります。一次発酵が終わった時点で、砂糖を追加して密閉容器に数日間つけておくことで、炭酸飲料にすることもできます。砂糖に長くつけて発酵を長く行うことで、飲料中の炭酸も強くなります。二次発酵時には、味付けをするためにスパイスやフルーツが投入されます。味付けの調整が完了したコンブチャは、冷蔵保存され、発酵のスピードを緩やかにすることで菌の活動を抑えます。
ホワイトラボ社のコンブチャのレシピ
ホワイトラボ社の分析検査技師Kristan Martinez氏が考案した、コンブチャの基本的レシピを紹介します。Martinez氏は2015年からコンブチャの研究を行っており、その時にホワイトラボ専用のスコービーの培養の実験を始めました。試行錯誤の末、Martinez氏がたどり着いたレシピが以下のレシピで、このレシピを使えば簡単に調整ができ、アルコール度数を 0.5%以下に保つことができるとのことです。
ー材料
・水14カップ(3300ml)
・砂糖1カップ(200g)
・8袋のティーバック
・スターター茶2カップ(470ml)
※スターター茶とは、以前に作られたコンブチャまたは購入したコンブチャを使う。ホワイトラボのスコビーパッケージには、コンブチャ1ガロン(3.7〜4.6リットル)分を作るために十分なスターター茶が含まれている
・スコビー1つ(容器1つにつき)
・お酢1カップ(235 ml)
(または購入したコンブチャ)
ー必要なもの
・水を沸騰させる鍋
・発酵用の容器4リットル分のバケツまたは瓶
・布巾などの布
・密封保存ができる4リットル分のガラス瓶(グラウラー)
ー手順
- 3300 mlの水を大きな鍋で沸かします。沸騰後に火を止めて、200gの砂糖を投入し、溶けるまでかき混ぜます。その後に8袋のティーバックを熱湯の中に入れ、30分間浸します。
- ティーバックを取り除き、お茶の温度が室内温度(22º〜25ºC)まで下がったら、470 mlのスターターティー(またはホワイトラボのスコビーパッケージ)と、カビの発生とPH値の減少を防ぐため235 mlのお酢(または購入したコンブチャ)を入れます。
- できたお茶は、発酵専用の容器に流し込みます。スコービーを冷蔵保存している場合には、使用前に室内温度まで温めてください。手を洗い、優しくスコービーをお茶の中に投入します。そして布巾などの布を上からかぶせて蓋をして、輪ゴムでとめます。
- 容器は暗い場所に室内温度(22º〜25ºC)で寝かせます。発酵に7〜14日間かけ、定期的に中身の発酵状況を確認します。
- 発酵開始から7日後には、コンブチャの味を毎日試し、コンブチャの味わいと適度な酸っぱさが出ているかを確認します。
- コンブチャが出来上がれば、スコービーを取り除きます。スコービーは、通気性のある容器で作られたコンブチャおおよそ250mlの中に入れて、室内温度(22º-25ºC) で保管をします。(保管時に、液体が蒸発したりスコービーが液体を吸収した場合には、追加でコンブチャを投入します)
- コンブチャをガラス瓶(グラウラー)に移し、お好みでハーブやフルーツなどで味付けをします。(コンブチャを炭酸にしたい場合には、グラウラーの中に入れて密封し、室内温度で1〜3日間保管してください)
- 完成したコンブチャは、発酵を止めるために冷蔵庫に入れます。
ホワイトラボのスコービーは大きいため、1〜5ガロン分を作ることができ、サイズが大きくなるにつれてもっと大量のコンブチャを作ることができます。1ガロン以上の容器でコンブチャを作る場合には、ホワイトラボのスコビーパッケージ以外に追加でスターターティーを用意する必要があります。
スコービーは、正しく使用され保管されれば、何度も使うことができます。また、コンブチャを作るたびに新しいスコービーができるため、そのスコービーを使って、次のコンブチャを作ることもできます。
短期間の保管の場合には、キレイな食品用容器の中に入れて、直射日光の当たらない場所に、室内温度(22º〜25ºC)で保管することをお勧めします。もしスコービーをしばらくの間使わない場合には、キレイな食品用容器の中に入れて、冷蔵庫で3ヶ月まで保管することができます。スコービーが乾燥してしまわないよう、足りなければ新しいコンブチャを足すことも忘れないようにしてください。
ホワイトラボのスコービー
ホワイトラボのWLP600コンブチャスコービーは、コンブチャを甘いお茶の中で発酵する時に使われる紅茶キノコの株です。食品の病原体は含んでおらず、コンブチャの発酵に必要な酵母と酢酸菌が含まれています。またこのスコービーには、酢酸溶液が含まれているため、上記のレシピに従うことで少量のアルコールのみを生成します。
以下は、ホワイトラボのスコービーに含まれる酵母と酢酸菌についてです。
酵母
Brettanomyces bruxellensis
Saccharomyces cerevisiae
Zygosaccharomyces sp.
Candida sp.
酢酸菌
Bacillus licheniformis
Bacillus cereus
Bacillus pumillus/aerophilus/safensis/altitudinis
Acetobacter tropicalis
Bacillus aerophilus
Bacillus aryabhattai
Gluconacetobacter saccharivorans
Micrococcus sp.
Gluconacetobacter rhaeticus
Paenibacillus taichungensis
Bacillus subtilis