世界的な供給調整:ニュージーランドホップへの注目が高まる
ここ2〜3年は、パンデミックの影響による在庫超過により、アロマホップ市場は世界的な供給過多の傾向にありました。
2025年はその流れにようやく変化が見え始めました。アメリカ、オーストラリア、そしてニュージーランドにおいても、ホップ農園の稼働停止や縮小が相次ぎ、実際にニュージーランド全体の収穫面積は前年から大きく減少しました。
この流れは、単なる減少ではなく市場のリバランス(健全化)の兆候です。生産量が大きく減少したことで、今後は需給が高まり、市場における需要と供給のバランスが適正化されると予測されています。
なお、Clayton Hopsでの生産量は毎年安定しており、今季は国内全体の収穫面積の約40%を占めています。
Clayton Hops:品質・革新・環境保護
Clayton Hopsは、家族経営による独立企業であり、ニュージーランド最大のホップ生産者です。
■ 主な特徴:
- ホップ農園1,000エーカー保有(さらに250エーカー開発予定)
- 高処理能力の加工施設完備
- すべての製品がニュージーランド国内で栽培・製造
- FernMark(ニュージーランド政府認証)取得済み
- 積極的なイノベーション:Amplifire™製品や新品種の開発に意欲的
高品質かつサステナブルなホップを安定した規模で供給できるため、Clayton Hopsは今後のホップ調達にとって重要な選択肢となることでしょう。

「品種らしさ」が際立つ年
今季のニュージーランド産ホップは、気候条件にも恵まれ、「品種らしさ」が一段と明確に感じられるクロップとなりました。
Clayton Hopsで生産された、代表的な品種のアロマの特徴を簡単にご紹介します:
- Nelson Sauvin™
ニュージーランドホップを代表する品種です。今年は、完熟グーズベリーやパッションフルーツ、そしてまさしくニュージーランド産ソーヴィニヨン・ブランを思わせるアロマが明確に表れました。後半のロットには、いわゆる「ダンク系」アロマも確認され、クラフトブルワーにとっては特に魅力的な選択肢となるでしょう。
- Motueka™
収穫時期による香りの変化が顕著。早期ロットではフローラルで爽やかなライム、後半には白桃やストーンフルーツのような印象へと移行しました。セッションエールからフルーティなペールエールまで、幅広くご使用いただけます。
- Riwaka™
ザーツを祖に持つリワカは、収穫期間が短く一気に成熟する品種です。今年はザーツ譲りのウッディさと柑橘系の香りが多くのロットで際立ち、ニューワールドラガーへの使用にも最適です。
- Green Bullet™
ビタリングホップとして知られていますが、今季はフローラルかつウッディな香りが引き立ち、アロマホップとしての可能性を秘めています。高アルファ酸と複雑なアロマの両方を求めるブルワーにおすすめです。
- Pacifica™
人気の高い品種。2025年も安定した品質で、フローラルと柑橘が明確に表れています。ハーブティーのような柔らかい余韻が感じられるロットもあります。
- Rakau™
今季のRakau™は柑橘の多層性が際立ちます。熟したオレンジやマーマレードジャム、オレンジブロッサムが重なり合う、温かみと華やかさを併せ持つアロマが特長です。
- NZ Cascade™
完熟オレンジ、レモン、グレープフルーツに、ライムと松の樹脂感が加わるバランスの取れたアロマを持ちます。
- Southern Cross™
例年通り、力強くパンチのある品種です。レモンやライムの皮のようなシャープなアロマが特長です。

Clayton Hops製品のご紹介
主要な製品ラインナップは下記の3種です:
- T90ホップペレット(即時加工・即時包装)
- Amplifire™ フレッシュホップオイル(収穫したてのフレッシュホップ使用)
- Amplifire™ 濃縮ホップペレット(低温製法)
それぞれ、アロマの方向性や用途が異なり、醸造の目的に合わせて選択することができます。
特にフレッシュホップオイルは、摘みたてのフレッシュホップから直接抽出されたオイルで、ペレットにはないみずみずしいアロマを付与できます。
仕込みの自由度が高まり、ドライホッピングや、仕上げの最終調整にも活用できる製品です。
ご注意:ホップオイルは今後取り扱う予定です。現時点では販売しておりません。

驚異的な加工スピードと一貫した品質管理
Clayton HopsではすべてのT90ホップペレットを4月上旬までに加工・包装完了しました。これは世界的に見てもトップクラスのスピードです。もちろんスピードが目的ではなく、迅速な処理によって、アロマ成分の劣化を最小限に抑えることができます。
「Fresher, Faster, Better – より新鮮に、より速く、より良く」こそ、Clayton Hopsの品質戦略です。

フルーティで多用途な新品種
Clayton Hopsは、今後数多くの新品種をリリースする予定です。
今季は一部のブルワリーに向けて、開発中の新品種を限定提供しました。香り・苦味・収量のバランスに優れた品種で、非常に高い評価を得ています。
新品種のアロマの特長:
- 甘いピーチ
- ジューシーなオレンジ
- 熟したパッションフルーツ
- 濃厚なマンゴー
- フローラルアロマと松のニュアンス
まるでフルーツサラダのような多層的なアロマが特長です。またアルファ酸は11〜14%と高めながらも、コフムロン含有量が少なく、苦味は非常にやわらかく、全体として多用途性に優れています。
今後は一般市場での販売を予定しており、この品種が世界市場でも高く評価されることが期待されています。
Clayton Hopsのサスティナビリティ
現在、世界中のブルワーが直面している課題が「持続可能な原料調達」です。Clayton Hopsは提携企業と協力し、最先端のサスティナビリティに取り組んでいます。
Amplifire™ フレッシュホップオイルのCO₂排出量:

Amplifire™ホップオイル10mlは、T90ホップペレット約500gに相当します。
つまりホップオイルを使用すると、従来のペレットに比べて圧倒的に低いCO₂排出量で同等のアロマ効果が得られることになります。
さらに、「収穫したてのフレッシュなホップ」で製造されるため、乾燥工程を省くことができ、エネルギー使用量の削減にも寄与しています。
このような背景から、Amplifire™シリーズは「世界でも最も環境負荷の低いホップ製品のひとつ」と評価されており、すでにBX(環境評価機関)との連携によりカーボンフットプリントの可視化と削減目標の設定が進んでいます。

BETでの取り扱いおよび販売
BETは、日本におけるClayton Hopsの正規代理店です。
「Fresh Hops for Fresh Beer」をモットーに、ブルワリーの皆さまに最高の鮮度でホップをお届けしています。
ホップの鮮度は品質に直結します。ホップは収穫後すぐに鮮度が落ちやすく、味や香りにも大きな影響を及ぼします。そのため、フランス、ドイツ、アメリカ、ニュージーランドなどの各産地で、収穫・乾燥・保存方法を把握し、直接買い付けを行っています。
現地から日本への輸送では、5℃以下の冷蔵コンテナを使用して空輸し、通関中も冷蔵保管を徹底しています。
ホップを保管する国内倉庫はSGS-HACCP認証を取得しており、常に5℃以下(平均3℃)を保ち、配送時まで鮮度をキープした状態で皆さまの元へお届けします。