2018年のホップ収穫量についてのレポート
2017年の世界のホップ収穫量の振り返り
2017年の世界ホップ収穫量は118,400トンと、1996年以来一番多い収穫量を記録しました。またアルファ酸量も11,250トンと、記録的数値を達成しました。一方で2018年は、6年連続で醸造においてアルファ酸が足りない年となりました。
2017年のホップ市場での売買価格は依然と高いままとなっています。特に収穫後すぐにはヨーロッパ地域にて収穫されたホップの契約が始まり、その契約価格も依然高いまま推移しています。ほとんどの品種で契約は2025年までの期間で結ばれています。
2018年のホップ栽培地について
世界中でホップ栽培地は増加傾向にあります。全世界のホップの作付面積は1,600ヘクタール増えており、現在では約60,300ヘクタール分の栽培地が存在します。
米国での特別なアロマなどの作付面積は、急成長を見せた過去6年間で初めて減少を見せました。ドイツでも同様にアロマなどの分野で減少が見られています。そのような背景もあり、両国ではクラフトビールの分野で、様々な種類の過剰生産に繋がりました。
ドイツでは、2017年の収穫後、高アルファ酸の栽培面積を500ヘクタール増加させました。しかしこの新しい作付面積分はすでに契約が結ばれています。米国でも、高アルファ酸の栽培面積を2年連続で増加させています。
またヨーロッパのアロマや極上アロマの品種においても、作付面積がほんの少しの増加を見せています。
2018年の収穫について
暖かい春の気候と十分な土壌水分により、ヨーロッパでは早い作物の成長が見られました。しかしその結果、早熟になった品種の早咲きにより、収穫損失に繋がってしまいました。米国でも同様に早熟品種の早咲きによる損失が相次ぎました。7月までは栽培地域での気候も良く好調であったのに対し、7月以降からヨーロッパで急激に気温が上がり、スロベニアとスペイン以外の多くの地域で降水量の減少が見られました。
現段階のデータによると、ドイツのホップ収穫量は平均を少し下回るだけに止まっています。気候の問題はありながらも、ほとんどの品種において順調に生産されています。しかし、アルファ酸で見るとすべての品種において長期平均数値を下回る結果となっています。
チェコ共和国では、収穫量は平均を40%下回っているものの、ザーツ種のみ平均値を推移しています。
そんなヨーロッパの収穫状況の中、スロベニアだけ好調な結果を見せています。生産量とアルファ酸において、収穫量が平均を上まると予想されています。
一方で米国では、2018年は良い収穫を見せています。アロマと高アルファ品種の生産においては、長期平均値に達しています。全体的に見ても、高アルファ品種のアルファ酸含有量は平均値を推移しています。一方で、アロマのアルファ酸含有量は若干平均値を下回る結果となっています。
最新の統計データによると、世界中で114,500トンのホップ収穫量があり、10,700トンのアルファ酸の生産が見られています。そして収穫物のアルファ酸値は平均で1,000トン下回る結果となっています。
供給と市場について
品種によって供給状況は異なっています。
チェコ共和国では不作により供給できるホップがない状況でした。また、豊作の年の2017年に収穫された極上アロマの品種であるザーツ種は、完全に売り切れていない状態で、2018年の不作を補う形で供給されています。
ドイツでは最初の収穫ホップの解禁以来、依然と値上がりが続いており、固定価格でのやりとりはほぼ行われていません。また小規模のドイツの会社では、市場で供給が見られない時期を狙って、高アルファ品種を高価格で売り出すところも現れました。
まとめ
収穫結果とデータから読み取れることとして、2019年の醸造にてアルファ酸は引き続き不足すると考えられます。このアルファ酸不足は、高アルファ品種とヨーロッパの典型的高アロマ品種が大きな要因です。
また現物市場でのホップの価格は高く出ています。多くの作付面積で契約がすでに結ばれていることもあり、今後も世界のホップ作付面積は増えると予測されます。2018年のアルファ酸不足の要因は収穫量に寄与するところ大きいです。そして、定期的に増え続ける作付面積により、多くの分野において供給が飽和状態に達することが予測されます。
アルファ酸はまだまだ世界的に供給が足りない状態ではありますが、本年も弊社はドイツ産・フランス産など、ヨーロッパの高品質なホップを確保し、提供いたします。