新製品の発表 – Fermentis SafAle W-68™ & SafAle™ BW-20
Fermentis(ファーメンティス)社 が、小麦ビール向けのドライ酵母のラインナップを増やしました。 本記事には、Fermentisの製品開発マネージャーであるフィリップ・ヤンセンス氏とのQ&Aや、BETスタッフによるビアスタイルと醸造タイプの紹介を掲載しています。
「小麦ビール」とはどんなビールですか?
フラマン語とオランダ語では、「Witbier」(ウィットビア)は「小麦ビール」と「白ビール」の両方を意味します。
同様に、ドイツ語では「Weisse」(ヴァイセ)は「白」で、「Weizen」(ヴァイツェン)は「小麦」を意味します。
この言語的な関連性は、すべての小麦ビールが「白」または少なくともその共通のゲルマン起源のために淡い色であると考えさせるかもしれません。しかし、ドイツのDunkels Weissbier(ドゥンケルヴァイツェン)のように、一部の小麦ビールスタイルは明らかに暗い色をしていることに注意することが重要です。
これは小麦のビールにカラメライズした麦芽を使用することがあるためですが、ともかく小麦ビールにはさまざまな色があることは言及する価値があります。
なぜ小麦ビールには異なる色があるのですか?
ドイツの小麦ビールには色の多様性があります。一般的には使用される小麦麦芽によって、ビールは豊かなゴールデン色になります。そして、Dunkel WeizenやWeizenbockのようなスタイルではさらに暗くなることがあり、これらの色はカラメル麦芽の影響が強いです。
対照的に、ベルギースタイルのWitbierは、通常、麦芽と非麦芽の穀物のブレンドで作られ、時には麦芽化していない小麦(Flaked Wheat)を加えることで、はるかに淡い外観となります。
色以外に、ドイツとベルギーの小麦ビールの違いは何ですか?
どちらのビアスタイルにも共通する特徴として、通常の大麦麦芽だけではなく、小麦を使用して醸造されることが挙げられます。しかし、この共通点以上に、大きな違いがあります。
ドイツの小麦ビール(もしくは白ビール)は、ビール純粋令で定められた基準に従い、原材料が「麦芽、ホップ、酵母、水」の4つのみに制限されています。
正式にドイツヴァイツェンビールとラベル表示されている場合、そのビールには通常50%以上の小麦麦芽が使用されており、この比率は70%以上になることもあります。
その結果、ビールのアロマは主に酵母と小麦の相互作用によってもたらされ、力強いフェノール、バナナ、甘いミックスフルーツの香りを持ちます。ドイツのヴァイツェンは、純粋令の基準を遵守し、余分なスパイスの添加は許されていません。
ベルギーのウィットビアは対照的に、使用される小麦の割合がより低く(40%以下)、小麦も麦芽化されていません。
ベルジャンウィットビアの独自性は、コリアンダーやオレンジピールなどのスパイスを加えることにあります。
フェノール生成力の低い酵母との組み合わせにより、ベースビールがマイルドになる傾向があり、それはまるで追加の原材料を活かすためのキャンバスのようです。
各種ビアスタイルの詳細:
ジャーマンスタイルの小麦ビール(ヘーフェヴァイツェン)
外観:ヘーフェヴァイツェンとして知られるジャーマンスタイルの小麦ビールは、一般的に淡い麦わら色から黄金色をしています。
多くの場合、小麦麦芽に由来するタンパク質と、ビールを濾過しないため酵母が残っていることから濁って見えます。
ヘーフェヴァイツェンは、小麦のタンパク質含有量が高いこともあり、非常に厚みがある、ムースのような白い泡が長く続くことで知られていいます。
アロマ:特有のフルーティーなバナナや、スパイシーなクローブのような酵母の特徴が主で、ホップのアロマはほとんどありません。ヘーフェヴァイツェンに使用される特定のエールイーストは、独特のエステルやフェノールが特徴的で、それがこのビールのアロマの個性に影響しています。
味わい:ホップの苦味はほとんど感じられず、滑らかで甘い穀物と麦芽の風味があります。
口当たり:ミディアムライトからミディアムボディのコクに、豊かな泡、炭酸を豊富に含んだクリーミーな口当たり、ドライな後味で非常に爽やかです。
料理との相性:ヘーフェヴァイツェンは、シーフードやサラダなどの軽めの料理や、白ソーセージのようなバイエルンの伝統料理とよく合います。フェノールの特徴、柔らかい口当たり、ビールの爽やかな個性はスパイシーな料理も引き立てます。
グラス:ヘーフェヴァイツェンをサーブする典型的なグラスは、背の高い花瓶型のグラスです。ビールの色を美しく見せ、豊かで大きな泡をきれいに保つことができます。
麦芽:伝統的には、大麦50%、小麦50%の割合で醸造されますが、小麦の割合がさらに高くなることもあります。
ホップ:ヘーフェヴァイツェンの特徴は苦味が少ないことです。国際苦味単位 (IBU) は10〜15で、ホップの使用量が最小限であることを示しています。ホップは、マイルドで心地よい苦味のビターホップか、ミッテルフリュー、トラディション、パール、ヘルスブルッカーなどのドイツ産アロマホップを使用します。
酵母:ヘーフェヴァイツェンに使用されるエール酵母が、特徴的なバナナとクローブの香りをもたらします。ピッチングレートと発酵温度に応じて、異なるエステルやフェノールが主張するアロマが得られます。
OG(初期比重):1.041〜1.051
FG(最終比重):1.008〜1.016
ABV(アルコール度数): 4.9%〜5.6%
SRM(標準参照法):3〜9 SRM
IBU(国際苦味単位):10〜15 IBU
ベルギースタイルの小麦ビール(ウィットビア)
外観:ベルギースタイルの小麦ビール(ウィットビア)は、淡い麦わら色から淡い黄金色で、麦芽化されていない小麦を使用しているため、わずかに白濁していることがあります。
アロマ:ウィットビールはコリアンダーとオレンジピールがスパイスとして使用され、甘い麦芽の風味をベースに、ピリッとした柑橘系のスパイシーなアロマが加わります。
味わい:口にすると、甘い柑橘とスパイシーなコリアンダーの香りが鼻に抜け、柔らかな小麦の特徴とバランスが取れています。小麦とスパイスによって、わずかに酸味があるのが典型です。
口当たり:ウィットビアの口当たりはドライでややクリーミー、ミディアムライトからミディアムボディのコクがあります。
全体的なフレーバー:柑橘、スパイス、わずかな酵母の風味が複雑に混ざり合い、多くは爽やかな後味をともないます。
料理との相性:ウィットビアはさまざまな料理と相性が良く、サラダやシーフード、鶏肉とよく合います。また、柑橘のアロマを持つため、脂ののった寿司にも合います。
グラス:一般的にタンブラーかパイントグラスでサーブされます。泡を保ち、飲み口が広いため香りをすぐに届けやすくなっています。
麦芽:ウィットビアの配合麦芽には通常、麦芽化されていない小麦が含まれ、オーツ麦や麦芽化されていない大麦も使用されることがあります。
ホップ:苦味は控えめから中程度が主流で、麦芽の甘みと添加されたスパイスやピールとのバランスが取れています。一般的に使用されるホップは、シュトリッセルシュパルト、シュパルター、ゴールディングスなどのヨーロッパのアロマホップです。
酵母:ウィットビアの酵母は、添加するスパイスを引き立てる能力が高いものが選ばれ、ビールに柑橘系のフレーバーを与えます。
OG(初期比重):1.048〜1.052
FG(最終比重):1.008〜1.0120
ABV(アルコール度数):4.8%〜5.6%
SRM(標準参照法):3〜5 SRM
IBU(国際苦味単位):10〜18 IBU
Fermentis社の新製品は、こうしたビアスタイル特有のニーズに、どう応えられますか?
Fermentis社は、小麦ビールの多様なスタイルに合わせて、2種類の酵母を開発しました。
SafAle W-68™とSafAle™ BW-20は、これらのスタイルの本質を守りつつ、それぞれの際立った特徴がより引き立つように設計されています。
SafAle W-68™ はドイツのヴァイエンシュテファン産の有名なドイツ酵母菌株で、伝統的なジャーマンスタイルのビールに理想的です。中程度の発酵度、ほどよいフェノール香、バナナとミックスフルーツの香りが際立ちます。
SafAle BW-20™は、小麦ビール醸造のために選び抜かれたスペシャリティ酵母で、ニュートラルでフルーティーなフレーバーと特有のフェノール香があります(クローブやペッパーの香り)。マルトトリオースを完全に発酵させず、ビールにコクを与えます。 酵母の沈殿性は中程度で、ビール中に再浮遊すると、塊にならずにパウダリーな霞がかります。
これらの異なる菌株は、SafAle™ WB-06をどう補完するのでしょうか?
SafAle™ WB-06は弊社を代表する酵母菌株のひとつです。これは多用途な酵母で、使用条件に応じて幅広い特徴を生み出します。
バナナやリンゴのアロマをともなうフェノール香とエステル香が際立ち、典型的なドライな後味です。
ジャーマンスタイルとベルギースタイル、両方の小麦ビールに最適で、発酵度が高く、酸味とキレのあるドライなビールを醸造します。
両方のビアスタイルが醸造できるレシピアイデアを、2種類紹介します。
ジャーマンスタイルの小麦ビール
麦芽
- 小麦麦芽:配合穀物全体の50%
- ピルスナーモルト:配合穀物全体の45%
- ミュンヘンモルト:配合穀物全体の5%
- 必要に応じて、ピルスナーモルトの代わりにサワーモルトを使用する。
ホップ
- ハラタウミッテルフリューまたはヘルスブルッカー
- 15 IBUに調整
酵母
- SafAle W-68™
水質プロファイル
- ヘーフェヴァイツェンには軟水が好ましい。ホップの苦味が柔らかくなるように水質プロファイルを調整する。
マッシュスケジュール
- プロテインレストのため、45℃でマッシュインする(20分)
- アミラーゼレストのため、65℃まで温度を上げる(60分)
- 70℃まで温度を上げる(10分)
- 76℃でマッシュアウト(10分)
煮沸
- 煮沸時間:60分
- 苦味を出すために、すべてのホップを煮沸開始時に加える。
発酵
- ピッチングレート:50〜80 g/100L
- 18〜26°Cで酵母をピッチング
- 温度が低いほどエステルが多く、フェノールは少なくなる。 温度が上がるとその逆になる。
- 発酵段階で酵母のアロマをより高めるには、アンダーピッチングにする。
ベルギースタイルの小麦ビール
麦芽
- 非麦芽/小麦麦芽:配合穀物全体の40%
- ピルスナーモルト:配合穀物全体の60%
- 必要に応じて、ピルスナーモルトの代わりにサワーモルトを使用する。
ホップ
- シュトリッセルシュパルトまたはスティリアン・ゴールディングス
- 18 IBU
- ビターオレンジピール:50 g/100 L
- コリアンダーシード:50 g/100 L
酵母
- SafAle BW-20™
水質プロファイル:
- ブリュッセルと同じような水質を目指すと、本格的な味わいになる。
マッシュスケジュール
- プロテインレストのため、52℃でマッシュインする(20分)
- アミラーゼレストのため、67℃まで温度を上げる(60分)
- 76℃でマッシュアウト(10分)
煮沸
- 煮沸時間:60分
- 煮沸開始時にホップを加える。
- スパイスとオレンジピールは煮沸終盤の5〜10分間に加える。
発酵
- ピッチングレート:50〜80 g/100 L
- 18〜26°Cで酵母をピッチング
- 温度が低いほどエステルが多く、フェノールは少なくなる。 温度が上がるとその逆になる。
- 発酵段階で酵母のアロマをより高めるには、アンダーピッチングにする。
入手可能な酵母やホップに応じて、またお好みにより、レシピはご自由に変更してください。
Fermentis社の酵母に関するご質問がある方、またはベルギースタイルやジャーマンスタイルの小麦ビールの醸造にお使いいただける、100gパッケージのご購入をご希望の方は、下記のリンクからお問い合わせください。